捨てられなかった手紙 (2-2)

「ほら、これがおじいさんからもらった手紙よ」

受け取った母は「ほんと、おじいさんの字やな~!」

見覚えのある字に母は懐かしそうであった。

開けてみるとどうやら私が送った手紙の返信のようであった。

「お手紙有難う存じます」なんて書いてあるから。

といって私がどういった手紙をだしたかなどはまったく覚えていない。

何時ごろもらった手紙なのだろうsign02

私がこの地に就職をして間もない頃のことのようであった。

「しっかり勉強して一人前の人になってください」と書いてあるから。

当時、家族は祖父母、母、弟と私の5人であった。

父はすでにその4年ほど前に病気で他界していて居なかった。

私が家を出た後、時を同じくして母も人出を必要としていた

親戚へ働きに出たようであった。

弟は学生で学校が遠かったため親戚の家から通っていた。

過っては一つ屋根の下で10人前後がにぎやかに暮らした家。

その家から次々と「人」がみんないなくなってしまったdown

家にはおじいさんとおばあさんと二人になってしまったのだ。

そんなおじいさんから届いた手紙。

その手紙には「寂しさ」が綴ってあったdespairsweat02

受け取った私は大きな衝撃をうけたshock 

“寂しくて涙が出てきて夜も寝られず“  おじいさんは強い人・・・  

そう思っていた。そんなおじいさんが寂しさで涙を流してる。 

40年経った今読み返しても目が熱くなるが、私は涙が出てきたweep

おじいさんの気持ちが胸にしみたから。

なぜなら私もこの「寂しさ」を知っていたから。  

それは小学3年生の時であった。

働きに出ていた一回り上の姉が帰省した時のことである。

滞在は1週間ほどであったが私はとても嬉しかった。

毎日がとても楽しかった。

ところが、そんな楽しかった日々はつかの間。

やがて姉は帰ってしまった。

そのあと、いいようのない「寂しさ」が押し寄せてきた。

楽しかった日々が灰色となってしまった。

小さな胸は“行かないで”と叫ぶ涙で押しつぶされそうだったcrying

でもそれは無理なことだとわかっていた。

耐えなければいけないことだとわかっていた。

幼いときに味わった「寂しさ」・・・

それがおじいさんの「寂しさ」と重なった。   

捨てることはできなかった・・・ それにおじいさんをそんな寂しい

思いにさせている(すまなさ)に心が痛んだ。 

いつまでも持つ手紙・・・・・   

ここにきて私はふと思ったsign01 

捨てられなかったというのは、ひょっとしたらこれは、おじいさんの

「寂しさ」に応えてあげられなかったという私なりの償いではなかっ

ただろうかsign02 と。  だから捨てられなかったのでは・・・・・とsign01

家から人の減る「寂しさ」・・・・・think   

それにしても妙であるsign02

母は、やがてこの家に起こるであろう「寂しさ」を案じてくれるが

自分は治癒すればまた田舎での一人住まいを口にする。 

それについての寂しさはどうなのだろうsign02

そのことは口にしない。

人は「寂しさ」も「立ち向かう寂しさ」は平気であっても、

「去られる寂しさ」は困難だということなのかもしれないthink

|

捨てられなかった手紙 (2-1)

あった!あった!up

文庫の底から取り出した一通の手紙!mail  

薄い茶色の封筒。

手にした封筒を階下で待つ母へと持って行く。

母は今、我が家に来ている。

田舎で一人住んでいるのだが年末ちょとした石段から畑に

転がり落ちて背骨を圧迫骨折してしまった。

その治療で我が家に来ている。 人は思うであろう。think

トシエさんがいるというのになにもこの家にと。

ところがこれがどうも私の性分のようで、私は勝手に回りの状況を

判断して決断してしまう癖があるhappy02

私の住む近くにはいろいろな病院がたくさんある。 

利便性がいい。 他の兄弟たち住む地と比べてその比ではない。

それに私は車が運転できる。 

トシエさんがいるとはいえトシエさんは毎日デーサービスや月のうち

10日ほどはショートスティにでかける。 

そんな中で自分のことは自分で出来る母が一人増えたとて

どうにかなるだろう 

 “このさいまとめて面倒見てやろうじゃ~ん” punch

治癒できる間の母の世話を買って出たのである。まあ、これには

主人のありがたい(お心)に甘えてる部分もあるのだが、

今はコルセットに上半身をまとわれ窮屈そうに毎日を過ごしている。

そんな母が入って今、我が家は四人。

年末からなにやかやと賑やかに過ごしている、

ところが、今日からトシエさんがショートスティへと出かけた。

そんな中で三人での夕餉の食卓が始まったnoodle

箸を進める中、ふと母がしみじみとこのようなことを口にした。

「人が減っていくというのはよくないな~!」というのである。

空いたトシエさんの席を指してのことである。

「手のかかるおばあさんでも家から減るというのは寂しいな」sweat02

というのである。しかし、ところがである、私は違う。

私にはしばらくトシエさんから目が離せるという開放感が先立ち

そんな「寂しさ」を味わうどころではない。

だが、続く母の話ではやがて回復すれば自分もここから田舎へと

去ってゆくpaper  遠からずトシエさんとの別れがある。

そして、夫婦もいつかは一人。 家から人の減っていく「寂しさ」、

その寂しさをも含めて、

「手のかかるおばあさんでも家から人が減るというのは寂しいな」

言っていたのであるcoldsweats01sweat02     「人が減る寂しさ」・・・・・   

ふと、私はあることを思い出したconfident

おじいさんからの手紙だ!     若いころにもらった手紙!

文庫に閉ったまま置いてある。   

どうしても捨てることが出来なくて置いたままだ。

いままで誰にも見せたことはない。 また、話したこともない。

別に意図したわけではない。  ただ、その機会がなかっただけだ。

ところが今、母の話から急に思い出した。

「ちょっと待って!見せたいものがあるの」

私は動く箸の手を止めて急いで二階へと駆け上がったrun

ぜひ母に見せたい。  おじいさんからの手紙を!

それには母が言う「寂しさ」、それと同じ「寂しさ」が綴ってあったから。

|

尾瀬

ほら!見て!            Photo_8          

これが草紅葉ですって!

きれいね!   

右も左も草紅葉よ!

ただの草なのにね! 

こんな色をつけるなんて!

尾瀬って宝物を持っているの

ね!  ほら!見て!   

あの山!

衣がえをしているよ!Photo_16

あの赤は“七かまど“みたい

ね!   でも、よく見て! 

みんな、私たちに

手を振っているみたい!

そうよ!これは!

ここに住む住人が

出迎えてくれているのよ!

身体をゆらし、

手を振りながら!Photo_17

みんなが総出で私たちを

出迎えてくれているのよ!

ああ!ありがとう!

みんな、ありがとう!       

こんな歓迎を受けるなんて!  

なんてありがたいのでしょう!

でも、どうしよう!

私はあなたたちへお土産を忘れてきたみたい!

持ち合わせはほんの少しの豊かな心!

こんなものしかないのだけど受け取ってもらえるかしら!

至仏山(しぶつさん)山頂上付近で雨に変わったお天気は私たちの身

体を消費させリュックは身体に重くのしかかっていますbearingsweat01

「平地では時間をかせいでください」これが山の歩き方のようです。

尾瀬の湿原に敷かれた二本の木道に重い足をおく私たちはリーダー

言葉に応えるべき歩をもくもくと進めています。catfacesweat02

また、その必要はありました。

だって、言われずとも誰にもわかっていることなのです。

間もなく今日の一日が終わろうとしていることが。

そして、その前に宿に着かなくてはいけないということも。

そんな時です。この湿原の住人は温かく、励ましをもって私たちを

出迎てくれたのです。   ありがとう!happy01good   

私は心から感謝の言葉をつぶやかずにはいられませんでした。

やがて山の帳が下りはじめる午後5時前、私たちはやっと宿に着き

た。どうやら最後の客のようでした。

濡れた雨具、濡れた靴!濡れた手袋!湿ったリュック!

どうしましょう?sadsweat01

私のまごついた行動は目立ったようです。eye

「早く乾燥室で濡れたものを干したらいいですよ!1時間もすれば

すからね」驚いて振り向くと一人のおじさんが、ベンチに腰を掛け

リュックを前に、手にしたお酒を嗜みながら声をかけてくださったので

す。wine 早々と下山してきていたのでしょう。その余裕には山なれた

風格があります。それもそのはず後で分かったことですが、どうやら

そのおじさんはここの宿の主人のようでした。

ありがたい言葉に従ってすぐ乾燥室に飛び込んでみると、そこには

ストーブが赤々と燃え温かく、すでにたくさんの干し物が所狭とぶ

下がっていました。

私もそれを見習って濡れたものをすべて吊り下げて一件落着!denim

こうして、二日目の宿にはやっと落ち着くことができました。

今日の入浴はどうなっているのでしょうsign02

順番は食事の前に男性が、女性陣は食後となっています。

山小屋での入浴は石鹸・また歯磨き粉などは使うことはできませんが

熱いお湯での入浴は疲れた体にはこの上ないご馳走でしたspa

さて、さて明日はどうしましょう?

予定の燧ヶ岳(ひうちがたけ)に登る体力は残っているのでしょうか?

今のところ自身に聞いても明日にならないと分からないようでした。

明日には明日の風が・・・coldsweats01sweat02  それはそうとconfidentsign02

あの「にわとりさん」chick  明日の朝もまた鳴いてくれるかしらsign02 

今朝の出来事です。

コッコッコッコッ!コケ~~~ッコッコッ!chick

コッコッコッコッ!コケ~ッコッコッコッ!chick

突然、遠くで鳴き出したにわとり!

“今時めずらしいわね。宿で鶏を飼っているとは・・・” 暗闇の中で

パチクリ目動かした私は、ぼんやりとそんなことを考えていました。

ところがそう思い込んでいたのは私の一人合点のようでした。

ごそごそと動き出した5つの布団!クスクスと笑う笑い声!happy01

そこで判明flair  なんと向様の携帯の目覚時計だったのです。

これにはみんな大笑い!happy01happy01happy01happy01happy01   爆笑の中での起床でした。

にわとりさん、明日もないてくれるのかなsign02sign02 

おやすみなさ~い!nightsleepy

fujiハハハハ!happy01 やはり鳴いてくれましたね。

chickコケ~~コッコッ、コッコッコッコッ、・・・って!happy01

clock午前前5時。窓の外はいいお天気のようですsun

燧ヶ岳にはどうでしょう?Photo_13

登れるでしょうか?

どうやら大丈夫なようですscissors

リタイアの声はどこからも

聞えきません。

それでは七時出発。さて、

燧ヶ岳とはどんな山なん

でしょう? ここは火山の山

だけあってごろごろとした

岩の山です。Photo_20

登り始めてほどなく足元は

岩に変わり中ほどからは

植物も消えて岩ばかりです

至仏山も山体が蛇紋岩で

出来ているようで岩の山で

したが燧ヶ岳は

俎嵓(まないたぐら)への

アップダウンもあってこち

らの方がはるかに岩場がPhoto_21

長く続くコースでした。

また昨日の雨のせいか

途中からはぬかるみが続き

足元の汚れ注意をはらう

道でもありました。shoe

今日も予定時刻を大幅に

遅れて山小屋着は

午後五時。house しかし、無事Photo_22

二つの山に登ることが出来

した。

その夜、私たちは大満足の

うちに消灯までビールを片手

に打ち上げなりました。

明日は尾瀬を後にします。

名残は尽きないけど・・・

尾瀬! ありがとう!happy01 さようなら!paper

ーあとがきー

10月3日~6日まで尾瀬に行って来ました。春からの計画です。

至仏山、燧ヶ岳と二つの山に登ってきました。当初、計画書をいただいた時、

女性陣は誰もが二つの山は無理と思っておりました。

ところが、なんとか全員無事に登りきることが出来ました。

これはひとえに私達を引っ張ってくださいましたお二方のおかげです。

お一方はいつもなにかとお世話になっております水泳仲間、山仲間でもあります

森田様!もうお一方は森田様のお友達でありますその昔ヒマラヤに登られたと

いう山のベテランさん、木田様です。

木田様には大変お世話になりました。

今回の計画を立ててくださったことはいうまでもありませんが、私たちは事前に

足前を見ていただいたり、装備に関して教えを受けたり、また、早くから宿、

交通機関の手配と用意周到なご配慮いただき、尾瀬山では全体の気配りをいた

私達を引っ張って下さいました

森田様には買い物に付き合っていただいたり、アドバイスをいただいたり、

宿でのもろもろな雑事等々、我々女性陣をまとめて下さいました。

お陰様で私達は面倒なことは何も考えず自分の事だけを考えていればいい

いうおんぶに抱っこの大変楽な尾瀬行でありました。

無事に楽しく二つの山に登られたのもこのよきリーダー、よきサブリーダーの

おかげと深く感謝致した次第です。

このことをここに心を持って記しておきたいと思います。

|

つれづれ

リ~~ン!リ~~ン! 

今朝はこの音色で目が覚めました。 鈴虫です。happy01 

初めて鳴きました。これは主人が卵からかえした鈴虫です。

この音色からは・・・そう秋を感じます。そういえば昨日は立秋!、

それにしても不思議sign02

どうして鈴虫は季節が分かるのだろう?

ぴったり季節に合わせて鳴き始めるなんて・・・・・人間の私などには

到底できない芸当!うだる暑さのなかでの秋の知らせにはいつも

納得できないとカレンダーと睨みっこしてしまう私なのですが、しかし、

今朝ちょっと違っていました。

犬の散歩で受ける風は昨日とは違い心なしか秋の気配が・・・・・

今年は珍しくそんなところで暦での季節を納得しているマーヤでありま

す。そんなマーヤが、最近ちょっと困ったことになっています。

それはマーヤの頭の中にはいつもおたまじゃくしが踊っているからな

のです。それは、まるで中毒にかかったようです。

だって、おたまじゃくしが踊りだすと、ても幸せな気持ちになるもので

すから追い払うことができなですhappy02 

おかげでブログ更新がままならず・・・なんてそんないいわけは止めて

おきましょう。いいかげんに思い切ってブログモードに切り替えてみる

こととします。  これはもう1ヶ月前の話で申し訳ないのですが。

こんな木があることをご存知でしょうかsign02 

『手紙の木』です。 私は知りませんでした。coldsweats01sweat01

7月お友達4人で暑気払いと銘打って南禅寺にある料亭・旅館「菊水」

お食事に行ってきました。「菊水」?敷居が高いですね。

とても私のような者の行くところではない、なんて思っていたらそれがな

と、行くことが出来たのです。ただし、お昼です。

昼間ですと湯豆腐会席が2500円、それも手入れの行き届いた静かな

お庭を眺めながらゆったりとお食事ができるのです。

もちろん物知りさんの案内によるものなのですが、これはリーズナブル

でお薦めです。そこでこの「手紙の木」を知りました。

玄関をくぐるとその物知りさんは一本の木を指差して教えてくれたので

す。その昔、この葉っぱに手紙をかいて送ったとsign03

木の高さは3mほど。Photo_4

一枚の葉の大きさは

長さ18~20cm。

幅7~8cm。

ちょっと肉厚でつやつや

光沢があります。

ほんとう?

こんな葉っぱで手紙を

送っていたの?

それが本当だと面白い。

これはそこで手入れをしている庭師さんに尋ねてみないと!

お聞きするとこれは本当のようでした。

すると、そんな話題で盛り上がったせいか帰り際、お店の方はお土産

にとその葉っぱを下さったのです。

どうも心優しい庭師さんが言付けてくださったようでした。

さて、いただいた葉っぱをどうしましょう?

これはやはり試してみなくては・・・

それに、ほんとうにこの葉っぱが届いたならこれはサプライズものbleah

そんな風に思った私は2枚の葉っぱを娘と息子に送ることに。

あくる朝一番に実行です。Photo_5

おそるおそるボールペン

書いてみました。

ちゃんと書けましたね。

「これ、送れます?」

と郵便局へ。

受け取った職員さん、

驚いた様子で「え~?」

どうも初めてのようです。

葉っぱを表、裏にとひっくり返

しながら戸惑っています、

「私個人的にはこのようなものはおもしろくて好きなのですが・・・」

ということはダメなの?不安がよぎります。

でも、そんなことでひるんでしまう私なんかではありません。

「そうでしょう、ネッ!面白いでしょうnotehappy01とすましてニコニコ。

「だから手紙を書いてみたの、お願い!送ってみて~」

「う~ん、定形外ですね~」「ええ、そんなのなんでもいいですよ」

それでは、と量りに乗せてみると一枚120円。 2枚で240円。

白いシールが出てきました。「これは剥がれたらだめなんですよ~」

自分に言い聞かすように貼る職員さんの手つきが危うい。

それはそうです。この葉っぱは、つるつるなのですから。

持ち前の厚かましさがでてしまいました。

「じゃあセロテープで巻きつけてみて~」なんて、覗き込みながらしっか

りと注文をつけたのですhappy02 さあ、これで無事投函ができました。

今日は金曜日。いつ届くでしょう? 火曜日!娘にやっと届きました。

文字は読めたかしらsign02 ちゃんと読めたようです。

葉っぱは青かったかしらsign02 これはダメでした。

茶色に変色していたようです。緑は当分保つものと思っていた私の

想は外れていました。サプライズsign02 娘には話のついでについ事前に

しゃべってしまったため、、また、しまりやさんは送料に(もったいない)

サプライズにはなりませんでした。水曜日・息子に届いたようです。

「なにかな~って、びっくりしたわ~eyesweat01

ことのいきさつを話すと「ふ~ん、おもしろいな~happy01」との感。

こちらは一応成功のようでしたが、まあ!これににぎやかにはしゃいで

いたのは私だけのようでした。coldsweats01sweat01

ーあとがきー

投函した後、すぐにお友達に報告したところ、それでは私もと、近くの郵便局

に行ったようです。すると、そこではビニール袋に入れないと受け付けてもら

えなかったようで、我が家とそう遠くは離れていない友は私が送った同じ局ま

で行って送られたようです。郵便局によって対応が違うようです。

この「手紙の木」なるもの、ネットで調べてみましたら次のように記載されてあ

りました。

タラヨウはモチノキ科の常緑高木で大きな光沢のある葉を持ち、庭園や寺社

の境内などによく植えられます。木の葉には字を書くことができ、戦国時代に武

士がこの葉に文字を書いて便りとし、葉書の語源になったといわれ、「手紙の木」

とも呼ばれます。現在も定形外郵便として送ることもできます)

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元気な介護者?(終)最初で最後?

それから、これはそう、まだ一年にもならないある日の出来事ですがね

私がそこの戸(トシエさんの部屋と台所の居間を仕切っている開き戸)

につかまって立っているトシエさんの前を通りかかったときのことです

突然トシエさんが 

「あんた!すまんな~」と言ったのです。

とっさのことにびっくりして私は「えっ?しゃあないや~ん」と軽く答えた

です。すると、どんな言葉が帰ってきたと思います?

「そうやってな~・・・しゃあないってな~・・・頭を越やす・・・このことが

な~・・・なかなかのことなんや~」

ゆっくりとした口調で一句一句噛みしめるようにことばを発したのです。

飛び上がらんばかりに驚きましたね。なんやいったいどうなっている

の?トシエさんはぼけてなんかいないや~って。あわてましたね。

返す言葉も見つからず私は再び同じ言葉を繰り返したのです。

なるべく明るく、

「いいから、いいから、しゃあないってことよ」って。

すると、トシエさんは 「すまん!」

そういって深々と頭を下げたのです。あのトシエさんが頭を下げたの

すよ。 思わず涙がでそうになりましたね。

なんやおばあさんはちゃ~んとわかっていたんやって!

一気にいままでの苦労が報われた気がしましたね。

きっともう二度と聞くことはないであろうトシエさんからのことば

そして最初で最後となるであろうこの言葉は、感謝とねぎらいの言葉

て私は真摯に受け止めてあげようと思いましたね・・・・・ think

「すごいですね~。いい勉強になりました」

ケアマネジャーさんの声に「いやぁ~勉強だなんて・・・・」

ふと我に返って時計を見るとなんと時計の針は大きく回っていました。

我家が訪問の最後とはいうもののケアマネジャーさんの勤務時間は、

とっく過ぎていました。一時間半もしゃべっていたことになります。

この方も、今、姑さんとの問題で思うところがったようです。

そんなこともあって私たちは職を越えてのおしゃべりとなってしまいま

した。clock それにしてもこの介護サービスの制度はありがたいですね。

おかげ様で私は介護をしながらやりたいことをやらせてもらっていま

す。また、とても充実した日々を送ることができています。happy01

帰り際にケアマネジャーさんはこんな秘話を話してくださいました。

前任者からの引継ぎ場面です。、

「ここのおばあさんはかわいいし担当を渡すのはいやなんだけどな~」

そういって笑いながら持ったファイルを出したり引っ込めたりしながら

なかかファイルを離してくれなかったようですhappy01  嬉しいですねhappy01

これからもそういっていただけるよう頑張らなくては!ねっ!rockhappy01

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元気な介護者?(その5) それぞれの人生

前向き・・・think  

そうですね。これは私の人生なのです。

私は自分の人生を大切にしたいのです。

介護をすることによって人生を暗く歩きたくはないのです。

そうでしょう? それに、介護、介護っていいますが介護っていうものも

やってみないとわからないでしょう?

やってみて初めて介護とはどういうものかがわかる。

そういう意味ではやってみてよかったと思います。

それに親を看たいという主人の意に添えたことはなによりもよかったこ

とだと思っています。主人も納得できたでしょうからね。

思い残すこともないでしょう。また、このトシエさんだって満足だったで

しょう。こんなことがありましたね。それこそ

私たちがここに移って介護を始めて間もないある日のことですが・・・

ベッドで腰を掛けていたトシエさんが、まるで子供のように、にこにこ

と嬉しそうにパチパチと手をたたいていたのです。

いったいなにをしているのかしらsign02

不思議に思って聞いてみたのです。

「おばあさん、なにしているの?」って。すると、

「ワ・タ・シ・ノ・ジ・ン・セ・イ」とパチパチとしていたのです。

「わ~!それは嬉しいですね~」

目を輝かせて言葉を発したのは目の前のケアマネジャーさん。

いいえ、残念ながら私はそういう心境にはなれなかったのです despairsweat02

私はひねくれているのかもしれませんね。

いいたいことをいい、やりたいことをやって最後はこうやって引越して

らってまでこのマーヤにみてもらえて結構なことねって。

正直、私はギャフンとなりましたね bearingsweat02

姉などはひどいですよ、この話をするとね、お腹を抱えて寝転がって

までげらげらと大笑いしたのですよ。

私は“そんなに喜ばなくても”と苦笑しながらも心の中で口をとんがらせ

ていましたね coldsweats01 これだって、トシエさんにすれば行く末が心配だっ

たのでしょうね。私たちが来た事でやれやれと安心したのでしょう、

トシエさんにとってこれ以上の幸せはありませんよnote

私はふと思うのですthink

あんなにむつかしかったトシエさんでも最後はこうやって人を笑わせて

いる。 人生すてたものではないなって。

仮に私がこの介護をしていなかったなら私はトシエさんの思い出を嫌な

思い出として人生の道連れにしたことでしょう。

ところが最後はこうやって笑わせてくれた。

思い出を道連れとするならばどちらが幸せでしょう。

この介護をしたことによって私は私の心も救われたということですよ。

ですから、

この介護は私にとってはいいお別れへの準備期間なのです。

いつトシエさんのお迎えがきても私は笑ってお別れができますよ。

バイバ~イ! あなたの人生よかったね!って。

|

元気な介護者?(その4)) どっちが楽?

ボケた人の介護って大変でしょうsign02

よく尋ねられる質問です。答えはNOpaperです。

ボケの現れ方によるかもしれませんが、精神的にこれほど楽なものは

ありません。だって、何をいっても、ものの5分もたたないうちに忘れて

いるのですよ。その世界に入ることはできせんが、とんかんちんな質問

には笑わせてもらっていますよhappy01 私も悪い人間でしてね、こういったら

どういった返事が返ってくるかな~?なんて期待を込めて答えたりしま

すからね。これが正常なトシエさんでだったらこうはいかない。

おばあさんボケてくれてどうも“ありがとう”ですよhappy01

介護っていうのは行き着くところはとどのつまり下の世話でしょう?

あんなものそのうち慣れますよ。それに下の始末も介護者がする方が

ずっと楽ですよ。自分で行かれていたときの方が大変でしたからね。

さすがにこのようなときには閉口しましたが、ちゃんと後始末ができな

ものですから手に汚物をつけたまま服をさわるでしょう。

だから布団の中は汚物だらけ。また汚物をはさんだまま下着もつけず

台所のテーブルに立たれたときは悲惨でしたね。そんな状態で手すり

もって歩くものですからあとの惨状がおわかりかとbearingsweat01

最近では汚物をはさんだまま寝られたことがありましたね。感覚がない

のかしらと不思議に思いますがこれが一日に三回あったときなどはさ

がにため息がでましたがdespairsweat02

ところが、これだって出ないとなると大変、五日も出なかった時など食

がなくなってくるわ、表情がなくなってくるわ。

で、そこで初めて気が付く。そうだ出ていなかったんだ!と。

あわてて浣腸のお世話になりましたね。こういうことを経てくると快調に

排便をみると、よかったよかったと思えてくるのですから面白いもので

よ。今は夜中に2回ほどのトイレ誘導が要ですが、これは主人と

お互い目が覚めた者が見る、その時間を黒に記録する。

それによって二度手間を防ぐというように工夫をしています。

よくある徘徊run

トシエさんの場合は夜中、家の中での徘徊はありましたが、玄関にで

ても外を徘徊することはありませんでしたね。それだってちゃんと理由

があったようです。時間の観念がわからないのと誰もいないので私達

探しているようでした。それだってやがては横になる時間が長くなっ

くると今度は足腰が弱っての寝たきりの心配が出てくる。

そうするとベッドから台所の往復を繰り返していても

“そうそう、いい運動になるのだからしっかり歩いてや~”

と眺めてられるというのですからこれまた面白いものですよ。

人間、同じ状態がいつまでも続くものではないということですよね。

苦労した食べ物制限noodle

今は一定量食べるともう箸をおきますね、

食欲減退かと思いきやそうではないようです。美味しそうな口元でぱく

ぱく食べますからね。胃がちいさくなったのだと思います。

そうそうちょっと前になりますがこんなことがありましたね。

出し巻き玉子をだしたことがあるのです。

すると「ひやぁ~。ごちそうやな~。いただきま~す」lovely

そういって口に入れたとたん「おいしいな~」とい言っていい口元で食

べ始めたのです。おかしくってね、ちょっと尋ねてみたのです。

「ふ~ん?そんなに美味しいの?幼稚園(施設のことを以前からそう

んでいるのです)とどっちがおいしい?」って! 笑えますよ happy01

「そりゃ~、比べもんにならへん」と答えましたからねhappy01

これにはうまいこというな~と感心してしまいましたね。しかし、ここ最

近こういった言葉数が少なくなってきました。

ちょっと単語を忘れかけていますね。

なにか面白ことを言ってくれないかな~なんて待っているのですが・・

ちょっとつまらなくなってきました。今は喉に詰まらせないような調理に

気をつける必要があります。すべての食材は柔らかく細かくですね。

服の脱着t-shirt

服装の整え、これは介護当時から手伝う必要があったのですが、

脱着には時間がかかります。出来ないところは手伝いますができるとこ

ろはたとえ時間がかかってもじっくりとやってもらっています。

やはり動くところは動かしておかないと動かなくなりますからね。

それに単に服の脱ぎ着といいますが服を着る事だって頭を使いますか

らね。どちらが前か後ろか、どちらが右か左かと、

ただ、しばらくショートスティでお世話になって帰ってきたときなどはトイ

レに行ってもただ突っ立っていることがあります。下げることを忘れてい

るようです。たぶん全部してもらっていることが想像されます。

朝の洗顔

これも、やはりちゃんとしてもらいます。歯磨きも用意をしてあげると

一応自分で出来ますから。ところが顔を洗うことを忘れていますね。

水を止めること、顔を拭くこと、見守りがいります。

日常生活はこんなところです。

私への問いかけ、合図を打ちながら話を聞いていたケアマネジャーさ

が口を開けました。 ものすごく前向きですね!

初めてお宅を訪問させていただいた時、どうしてここの介護者はこうも

元気なんだろうsign02  とても不思議だったのですsign02

そのわけがやっとわかりましたhappy01

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元気な介護者?(その3)心の見え隠れ

我の強い人間って困ったものですね。happy02

なかなか心が折り合いをつけてくれないから coldsweats01

元来私は我の強い人間です。覚悟して介護に当たったもののまだらぼ

けのトシエさんの回路が繋がった時などはどうしても今までのトシエさ

んとの歴史が頭をもたげてきて困りましたね。しかし、そんな時私を後

押ししてくれたのは兄弟たちのことば、母の生き方でしたね。.

介護で引っ越します。そんな話をするとまわりの友達は一様に、引っ越

しをしてまで?どうにかならないの?といった言葉のなかで私の兄弟だ

けはだれも後ろ向きに答えるものはいなかったのです。

「それはよかったな~。それが一番いいやろうな~」

「(主人)も安心するだろう」という言葉でした。. こういった言葉はあり

たかったですね。もしそれが、えらいことになったな~!

なんていわれらきっと、私は気滅入っていたことでしょうから。

そして、なにより私の心を確固たるものしたのは、母からのことばで

たね。 「あなたはそのように生まれついている」  

これには人生に逆らってみてもしかたがないと観念したものですよ。

そうすると、えらいものですよ、今度は与えられて仕事として取り組ん

みようと思えてきましたから。ありがたいことでしたね。

介護に二つと同じはありませんよね。みな全部それぞれに違う。

そこでわかったことはいかにして自分を楽に持っていくかということが

肝心あるということでしたね。

介護される者より介護する者が楽なようにですね。

主導者は介護者だったのです。happy01

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元気な介護者?(その2) おじいさんのうしろ姿

昔の法律では親のめんどうは長男でというものでしたね。

今は違って子供たち皆でというものですが、しかし、まだまだ長男に頼

ところが大きいですよね。その嫁として私も暗黙のうちに覚悟する

ところはありましたが、実際できることならさけて通りたいと思うのが本

音ですよね。まして、さほどいい思い出もないトシエさんの介護です。

しかし、そんな逃げ腰でのんきに構えていても介護問題なんて逼迫を

して突然やってくるもんなんですよね。さて、どうするか?

他の地に住んでいた私たちはいろいろな条件から考えて、これはやは

り施設介護もやむをえないとなったのです。

そこで、住んでいた近くの施設を見学してみることにしたのです。

出向いた施設でのことでしたhouse

しょっぱなに案内されたある部屋を覗いて私は思わず息を呑み込んで

しまいました。おじいさんが一人ぽつんと窓の外を眺めていたのです。

そのうしろ姿には寂しさが漂っていたのです。部屋は六畳ほどの広さ

ったかと思います。 たんすとベッドが置いてありました。

その隅で入り口に背をむけ窓の外を眺めるおじいさん。

何を眺めるというのでしょう?  庭などありません。

とても寂しそうでした。そこにトシエさんを重ねたとき・・・・   

私は首を横に振りました。これは出来ない。   

私にこれは出来ないと。

いくら折り合いが悪かったとはいえこれは出来ない。

人生の最後の終住がこの寂しさかと思うとかわいそうでsad

こういうことをすればきっと私は後悔する。そう思ったのです。

そう思ったのだったら仕方ないですよね、看ないと。

私たちは進める後の案内を辞退し、無言のうちにそそくさとその施設

後にしたのですsad

偶然にもその後、すぐに隣のこの家が空き、そこで、ここへ移り介護が

始まったということです。 2003年9月のことでした。

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元気な介護者? (その1)

初めてお宅を訪問させていただいて驚きました eye

ここの介護者はどうしてこうも元気なんだろうって eyesign02

これは今月(5月)からお世話になりますケアマネジャーさんからの声

です。女性で三歳のお子さんをお持ちです。

トシエさんが介護サービスを受けるに当たってここ、三年近くお世話に

った男性ケアマネジャーさんに代わってこれからお世話になります。

そんな言葉に驚いたのは私の方です。それは他の介護者はみん

気ではないということを理解したからです。

マーヤさんのその元気さはどこからくるのですか sign02

そのような思いもかけない疑問を投げかけられても私は返答に窮して

しまいます。 さあ sign02 と首をひねって考えみることに・・・

しいて答えを見つけるとするならば、それは『介護』といいうものを消化

ているからかもしれませんね。と答えておきましょうか happy01

それと大きくはトシエさんがボケてくれたことにあるかもしれません。

『認知症』ってどうしてみんな元気なときとは反対の性格に変わってしま

うのでしょうね sign02  トシエさんも例外ではありませんから。

早くからデーサービス、ショートスティと施設利用をさせていただいてお

りますが、過ってのトシエさんが気になりましてね一度施設での様子を

それぞれの職員んに尋ねたことがあるのです。

すると、どちらの職員さんからも同じ答えでした。

「トシエさんは職員さんにとても人気がありますよ」

「いやし系ですね~。」

“このように年をとれたらいいね”の候補NO1ですよ  

って!驚きましたね eyesweat01

今までのトシエさんからはとても考えられませんでしたからね。

そのことを職員さんにお話ししますと、皆さんボケると元気なときとは

対になられるようですね、ということでした。 不思議ですね~sign02

いったい人間の脳とはどうなっているのでしょうねsign02

「そうですね~。確かに皆さん反対になりますね~」

とは目の前のケアマネジャーさん。

この方も介護施設での経験を経てこの職に就いたようです。

そんな経験からこんな話しが・・・

暴言を吐いたり乱暴だったりと、とても手のかかるおばあさんがいたよ

うです。ところがそんなおばあさんなのにお嫁さんは頻繁に通っておば

あさんによくしてあげる。どうして、こんなに手のかかるおばあさ

に、こうも大事によくしてあげるのだろうって不思議に思って尋ねら

ようです。すると、お嫁さんはこのおばあさんにはとてもよくしても

た。だからこのように変わられても見舞うのだと答えられたようです。

ところが反対に、にこにことおだやかで手のかからない、いわゆる好い

おばあさんがおられた。しかし、こちらはご家族だあれも来られない。

お嫁さんはこのおばあさんにはたいそういじめられたようでした。

う~んsign03 これはいったいどういったことなのでしょうね。

本来人間の心の中には、いい心、悪い心、二つの心が居座っていて

勝った方が表に現れるということなのでしょうかsign02

ボケると抑えていた負け組みがヤイヤイと勢いを盛り返すというのでし

ょうかsign02それはやり残したことの総仕上げをしているのでしょうかsign02

ほんと不思議ですねsign02  だれか教えて欲しいものですね。

だって、もし私がボケたら大変なことになりますよcoldsweats02sweat01 

世間で言ういういい嫁をていますからね。

これはぜったいにボケるわけにはいきませんよpunch

こういったことを見てきますと、がまんせずやりたいことをやって、いい

いことをいって負け組みにも活躍をさせる場を設けてやらなければ

いけないということなのでしょうかね~ happy01 sign02 

それはさておき、このトシエさんの介護sign01

さほどいい思い出など持ち合わせていない私がなんで自宅介護などを

始めたのでしょうねcoldsweats01sweat02

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