捨てられなかった手紙 (2-2)
「ほら、これがおじいさんからもらった手紙よ」
受け取った母は「ほんと、おじいさんの字やな~!」
見覚えのある字に母は懐かしそうであった。
開けてみるとどうやら私が送った手紙の返信のようであった。
「お手紙有難う存じます」なんて書いてあるから。
といって私がどういった手紙をだしたかなどはまったく覚えていない。
何時ごろもらった手紙なのだろう![]()
私がこの地に就職をして間もない頃のことのようであった。
「しっかり勉強して一人前の人になってください」と書いてあるから。
当時、家族は祖父母、母、弟と私の5人であった。
父はすでにその4年ほど前に病気で他界していて居なかった。
私が家を出た後、時を同じくして母も人出を必要としていた
親戚へ働きに出たようであった。
弟は学生で学校が遠かったため親戚の家から通っていた。
過っては一つ屋根の下で10人前後がにぎやかに暮らした家。
その家から次々と「人」がみんないなくなってしまった![]()
家にはおじいさんとおばあさんと二人になってしまったのだ。
そんなおじいさんから届いた手紙。
その手紙には「寂しさ」が綴ってあった![]()
受け取った私は大きな衝撃をうけた
“寂しくて涙が出てきて夜も寝られず“ おじいさんは強い人・・・
そう思っていた。そんなおじいさんが寂しさで涙を流してる。
40年経った今読み返しても目が熱くなるが、私は涙が出てきた![]()
おじいさんの気持ちが胸にしみたから。
なぜなら私もこの「寂しさ」を知っていたから。
それは小学3年生の時であった。
働きに出ていた一回り上の姉が帰省した時のことである。
滞在は1週間ほどであったが私はとても嬉しかった。
毎日がとても楽しかった。
ところが、そんな楽しかった日々はつかの間。
やがて姉は帰ってしまった。
そのあと、いいようのない「寂しさ」が押し寄せてきた。
楽しかった日々が灰色となってしまった。
小さな胸は“行かないで”と叫ぶ涙で押しつぶされそうだった![]()
でもそれは無理なことだとわかっていた。
耐えなければいけないことだとわかっていた。
幼いときに味わった「寂しさ」・・・
それがおじいさんの「寂しさ」と重なった。
捨てることはできなかった・・・ それにおじいさんをそんな寂しい
思いにさせている(すまなさ)に心が痛んだ。
いつまでも持つ手紙・・・・・
ここにきて私はふと思った
捨てられなかったというのは、ひょっとしたらこれは、おじいさんの
「寂しさ」に応えてあげられなかったという私なりの償いではなかっ
ただろうか
と。 だから捨てられなかったのでは・・・・・と![]()
家から人の減る「寂しさ」・・・・・
それにしても妙である![]()
母は、やがてこの家に起こるであろう「寂しさ」を案じてくれるが
自分は治癒すればまた田舎での一人住まいを口にする。
それについての寂しさはどうなのだろう![]()
そのことは口にしない。
人は「寂しさ」も「立ち向かう寂しさ」は平気であっても、
「去られる寂しさ」は困難だということなのかもしれない![]()
| 固定リンク











最近のコメント